ブレーカーの選定方法
ブレーカー選定の基礎知識
1. ブレーカーの役割と重要性
ブレーカーは電気設備において重要な保護機能を果たす機器です。主に以下の2つの保護機能があります:
- 過電流保護機能:電気回路に許容範囲を超える電流が流れた場合に遮断し、配線や機器の損傷を防ぎます
- 短絡保護機能:回路で短絡(ショート)が発生した際に即座に遮断し、火災や機器の損傷を防止します
適切なブレーカー選定は、設備の安全性を確保する上で非常に重要です。選定を誤ると次のような問題が発生する可能性があります:
- 定格電流が小さすぎる場合:通常使用時でも遮断が頻発し、設備の運用に支障をきたします
- 定格電流が大きすぎる場合:過電流や短絡時に適切な保護ができず、重大事故につながる可能性があります
2. ブレーカーの種類
2-1. 配線用遮断器(MCCB)
- 過電流保護と短絡保護の基本機能を備えています
- 定格電流範囲:主に30A~800A
- 一般配線の保護用途に広く使用されます
- 単相用と三相用があります
2-2. 漏電遮断器(ELCB)※ELB
- MCCBの機能に加え、地絡電流も検出して遮断します
- 感度電流により以下の種類があります:
- 高感度型(30mA):一般配線用途
- 中感度型(100mA、200mA):動力設備用途
- 単相用と三相用があります
3. 選定の基本事項
3-1. 選定の基本要素
まず、以下の基本要素を必ず確認します:
- 定格電流:回路の最大使用電流以上の値を選定(過大は不要)
- 遮断容量:想定される短絡電流に対して十分な容量を確保
- 使用電圧:単相100V、単相200V、三相200V等の別を確認
- 相数:負荷に応じて単相用か三相用かを選定
- 漏電保護:法令で要求される箇所にはELCBを設置(感度電流は用途に応じて選定)
3-2. 機器仕様の確認
- 電気機器の仕様書に記載された推奨容量を基準とします
- 同時使用率や負荷率も考慮して選定します
3-3. 回路別の選定基準
一般的な回路における選定基準は以下の通りです:
コンセント回路
- 予想される負荷容量に基づき回路数を決定
- 標準的な配置の目安:
- 20A回路:6~8個のコンセント
- 負荷の集中を避けるため、適切に分散
照明回路
- 接続される照明器具の総ワット数で決定
- 将来の増設も考慮
4. 特殊条件における選定のポイント
4-1. モーター負荷の場合
基本要素に加えて、以下の点を考慮します:
始動電流対策
- 通常の2.5~6倍の始動電流が流れることを想定
- 始動方式(直入始動、スターデルタ始動等)に応じて選定
専用ブレーカーの使用(モーターブレーカー)
- モーター用の遮断特性を持つブレーカーを選択
- 頻繁な始動・停止にも対応できる耐久性を確保
4-2. インバータ機器の場合
高調波対策
- 高調波電流による誤動作を防ぐため、専用品を検討
- インバータの容量や台数に応じて選定
漏洩電流対策
- 通常より大きな漏洩電流が発生することを考慮
- 必要に応じて専用のELCBを選定
4-3. 特殊環境での使用
設置環境に応じて、以下の対策を講じます:
高温多湿環境
- 温度上昇による定格低下を考慮
- 耐環境性能の高い機種を選定
粉塵環境
- 防塵性能を確保した機種を選定
- 定期的な保守点検が可能な設置場所を選定
屋外設置
- 防雨・防水性能を持つ機種を選定(ブレーカーボックスなど)
- 直射日光による温度上昇も考慮
5. 現場で役立つアドバイス
ブレーカー選定の基本的な考え方は以上の通りですが、実際の現場では様々なケースに出会うことでしょう。以下のポイントを意識しておくと、より確実な選定ができます:
- 最初は先輩の選定例をよく観察し、なぜその容量を選んだのか、理由を考えてみましょう
- 分からないことは、恥ずかしがらずに先輩や上司に質問するのが上達の近道です
- 電気は目に見えないからこそ、安全側に考えることが大切です
- 経験を重ねながら、徐々に判断の幅を広げていけば良いのです
- 同じような施設でも、使用状況によって最適な選定は変わってきます。施主さんの使用状況をよく確認することが重要です
一つ一つの経験を大切にし、少しずつ知識を積み重ねていきましょう。